ジョゼと虎と魚たちのあらすじを紹介

2020年11月23日

今も根強いファンが多い映画、「ジョゼと虎と魚たち」。元は田辺聖子の恋愛小説で、2003年に犬童一心監督で実写化されました。

足が悪くほとんど家を出たことのないジョゼと、雀荘でアルバイトしている大学生恒夫のラブストーリーです。

ジョゼ役は日本映画界には欠かせない女優池脇千鶴、が演じています。ヌードもある体当たりの演技で、純粋で口の悪いジョゼがはまり役です。

本当の名前はくみ子ですが、フランソワーズ・サガンの「一年ののち」と言う本が好きで、その主人公の名前を名乗っています。

恒夫役は妻夫木聡で、お気楽だけど繊細な気持ちを上手く表現しているのはさすがです。優しいけれど女の子にはちょっといい加減で、セックスフレンドもいる大学生役を好印象に演じています。

恒夫はバイト先の雀荘で、近所に出没する乳母車を押すお婆さんの噂を耳にしました。ある日坂道を猛スピードで下ってくる乳母車に遭遇するのです。そこに乗っていたのが足の悪いジョゼでした。

その流れでジョゼの家で朝ごはんを食べることになった恒夫ですが、ジョゼの作った手料理はとても美味しく、その後も何かと家を訪れるようになります。ジョゼは足が悪くても車椅子は使わない主義です。

お婆さんとの2人暮らしで、お婆さんが拾ってきた本を読むのが趣味。押入れの下の段にいるのがお気に入りです。世間体を気にするお婆さんの影響もあり、閉じこもったような人生を送ってきました。

恒夫は大学の同期生である上野樹里演じる香苗に、ジョゼの生活をもっと良くしようと相談します。福祉を学んでいたので相談にのりますが、恒夫に好意があるため何かとアプローチしてくる香苗。

市の支援でバリアフリーの工事が行われることになりますが、その時突然福祉に興味があった香苗が恒夫と見学に訪れました。2人の会話を良く思わなかったジョゼは怒り、お婆さんにももう来ないようにと言われてしまうのです。

数ヶ月後、就職活動中の恒夫は、偶然お婆さんが亡くなったことを耳にします。1人で生きていくには大変な彼女のことを気にかけ、すぐに家に駆けつけました。ゴミ出しも1人でできないため、近所のおじさんに胸を触らせて世話をしてもらったりしていたのです。

その行為を恒夫は責めますが、ジョゼは泣き叫ぶのです。恒夫は彼女の何もできない孤独と、素直になれない気持ちを感じ、2人は次第に恋愛関係に。海を見たことのない彼女を車に乗せて、実家の法事を兼ねた旅行へ連れていったり、なんてことのない幸せな時間が過ぎていきました。

しかし車椅子を使わず、自分に負担を掛けることなどにストレスが溜まっていきます。自分と障害者の彼女との違いが、現実を帯びてきたのです。

結局連れていくはずだった実家の法事にも戸惑いを感じ、断ってしまいました。その後、恒夫は再会した香苗と付き合うことに。結局ジョゼとは別れを選びます。

別れて家を出た後、香苗と並んで歩く途中に恒夫は道端で泣き崩れるのです。最後までジョゼを受け入れてあげられなかった自分の不甲斐なさ、自分だけが幸せになると言う罪深さなどが胸を締め付けます。

別れた後も、ジョゼは1人で生きているのです。電動車いすを乗りこなして移動したり、相変わらず美味しい料理を作ったりして、変わらない毎日を送るのでした。

物語の最後はたくましく生きるジョゼの姿が印象的です。とても美しく切ないラブストーリーは、いつまでも観た人に余韻を残します。普通の男の子と障害者の恋愛ですが、きれいごとでは終わらず、リアルな感情が手に取れるでしょう。

どの登場人物の気持ちも手に取るようにわかるので、より切なさが増すのです。どこまでも純粋ですぐに崩れてしまう危うさは、他には無い優しい物語として語り継がれています。

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